2016年5月28日
4/30 ナチュラルアクション 普通救命講習
地震の被害により亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、
被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
いつ何が起きるのか分かりません。自然を相手にしている私達ナチュラルアクションのスタッフも、一層安全に対して意識を高めていきます。
あらゆる事態を想定し、何か起きた時迅速に対応できるように。
先月、富士宮市消防本部中央消防署・芝川分署の方々にナチュラルアクションに来ていただきました。
ナチュラルアクションのガイド・スタッフが普通救命講習を受けるためです。
ガイドはすでにこの講習の受講経験がありますが、消防署からは2年から3年ごとに再講習を推奨されています。救命技能を忘れることなく、維持向上するためにも今回受講しました。
ガイドのみならず、事務スタッフ・カフェスタッフも参加しました。
救命技能は、私達のような仕事だから必要な技能というわけではありません。いつどこで誰がいるところでその技能が必要になる状況になるかわかりません。
この記事では、私達が今回受けた講習の、救命処置・心肺蘇生法の流れについて写真と文章で簡単に紹介したいと思います。
この記事を読んで、救命処置とはどんなことをするのか、皆さんに少しでも知ってもらえたらと思います。
そもそも救命処置とは、心臓の病気や脳の病気(心筋梗塞や脳卒中)などで突然心臓や呼吸が止まってしまった人に対して、そばに居合わせた人ができる応急手当のこと。
心臓や呼吸が止まってしまった人の治療はまさに1分1秒を争います。一刻も早い処置が必要です。
傷病者を発見してからの順序としては、
①周囲の安全確認
②反応(意識)の確認
③助けを呼ぶ(119番通報)
④呼吸の確認
⑤心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)
①周囲の安全確認
・傷病者に近寄る前には、周囲の安全を確認し、状況にあわせて自らの安全を確保してから近づきます。
・車が通る道路などに人が倒れている場合には、特に気をつけます。
②反応(意識)の確認
・傷病者の耳元で「大丈夫ですか」または「もしもし」と大声で呼びかけながら、肩を軽くたたき、反応があるかないかをみます。
・肩をたたく時は両手で両肩を。急に起き上がってきた場合に抑えられるようにです。
・呼びかけなどに対して目を開けるか、なんらかの返答または目的のあるしぐさがなければ「反応なし」と判断します。
③助けを呼ぶ(119番通報)
・反応がなければ、大きな声で「誰か来て!人が倒れています!」と助けを求めます。
・協力者が来たら、「あなたは119番へ通報してください」「あなたはAEDを持ってきてください」と具体的に依頼します。
・協力者が複数いる場合、誰にお願いしているのかわかりづらい時があるので、「そこの青のチェックのシャツの方」などと言うとわかりやすいと思います。
・119番通報をお願いする時も、「20代男性の意識がありません」「70代男性の意識がありません」と状況も一緒に伝えると、119番に電話した時、救急側も的確な指示ができるのかと思います。
・協力者が誰もいない場合には、次の手順に移る前に自分で119番通報します。
④呼吸の確認
・傷病者が「普段どおりの呼吸」をしているかどうかを確認します。
・傷病者のそばに座り、10秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見て、普段どおりの呼吸をしているか判断します。
「普段どおりの呼吸なし」と判断するのは、次の場合です。
・胸や腹部の動きがない場合
・約10秒間確認しても呼吸の状態がよくわからない場合
・しゃくりあげるような、途切れ途切れに起きる呼吸がみられる場合 ※「死戦期呼吸」
⑤心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)
●胸骨圧迫
傷病者に普段どおりの呼吸がないと判断したら、ただちに胸骨圧迫を開始し、全身に血液を送ります。
・胸の真ん中を、重ねた両手で「強く、速く、絶え間なく」圧迫します。
・肘をまっすぐに伸ばして手の付け根の部分に体重をかけ、傷病者の胸が少なくとも5cm沈むほど強く圧迫します。
・1分間に少なくとも100回の速いテンポで30回連続して絶え間なく圧迫します。
・圧迫と圧迫の間(圧迫を緩めるとき)は、胸がしっかり戻るまで十分に力を抜きます。
●人工呼吸
30回の胸骨圧迫終了後、口対口人工呼吸により息を吹き込みます。
(1)気道確保
・傷病者の喉の奥を広げて空気を肺に通しやすくします。(気道の確保)
・片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先(骨のある硬い部分)に当てて、頭を後ろにのけぞらせ、あご先を上げます。
(2)人工呼吸
・気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみます。
・口を大きく開けて傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして、息を約1秒かけて吹き込みます。傷病者の胸が持ち上がるのを確認します。
・いったん口を離し、同じ要領でもう1回吹き込みます。
・2回の吹き込みで胸が上がらない場合でも、吹き込みは2回までとし、すぐに胸骨圧迫に進みます。胸骨圧迫を中断している時間をできるだけ短くしてください。
・傷病者の顔面や口から出血している場合や、口と口を直接接触させて人工呼吸を行うことがためらわれる場合には、人工呼吸を省略し、胸骨圧迫のみを続けます。
●心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)の継続
・胸骨圧迫を30回連続して行った後に、人工呼吸を2回行います。
・この胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせ(30:2のサイクル)を、救急隊に引き継ぐまで絶え間なく続けます。
・胸骨圧迫を続けるのは疲れるので、もし救助者が二人以上いる場合は、1~2分間程度を目安に、胸骨圧迫の役割を交代するのがよいでしょう。
脳は、心臓が止まると15秒以内に意識がなくなり、3~4分以上そのままの状態が続くと回復することが困難になります。
心臓が止まっている間、心肺蘇生によって脳や心臓に血液を送り続けることが、傷病者の命を救うために重要なのです。
ここまでが心肺蘇生の流れですが、心肺蘇生を行っている途中で、AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を始めます。
○AEDとは?
心臓が突然止まるのは、心臓がブルブルと細かくふるえる「心室細動」によって生じることが少なくありません。この場合には、できるだけ早く心臓に電気ショックを与え、心臓のふるえを取り除くこと(除細動)がとても重要です。
AED(自動体外式除細動器)とは、この電気ショックを与えるための機器です。コンピューターによって自動的に心室細動かどうかを調べて、電気ショックが必要かどうかを決定し、音声メッセージで電気ショックを指示してくれますので、一般の人でも簡単で確実に操作することができます。
最近では空港や駅、催し物ホール、デパートや公共施設など、いろいろな場所にAEDを備え付け、その場に居合わせた人によってAEDを活用してもらうことで、今まで救急隊を待っていたのでは助からなかったかもしれない人々の救命につなげることを目指す動きが広がっています。
AEDにはいくつかの種類がありますが、どの機種も同じ手順で使えるように設計されています。AEDは電源が入ると音声メッセージと点滅するランプで、あなたが実施すべきことを指示してくれますので、落ち着いてそれに従ってください。可能であれば、AEDの準備中も心肺蘇生を続けてください。
○AEDの使用手順
①AEDを傷病者の近くに置く
②AEDの電源を入れる
③電極パッドを貼る
・傷病者の衣服を取り除き、胸をはだけます。
・電極パッドの袋を開封し、電極パッドをシールからはがし、粘着面を傷病者の胸の肌にしっかりと貼り付けます。
・電極パッドは、胸の右上(鎖骨の下)および胸の左下側(脇の5~8cm)の位置に貼り付けます(貼り付ける位置は電極パッドに絵で表示されていますので、それに従ってください)。貼り付ける際にも、可能であれば胸骨圧迫を継続してください。
・電極パッドと肌の間にすき間を作らないように。アクセサリーの上や心臓ペースメーカーの上などに貼らないように気を付けましょう。肌が濡れている場合は、タオル等でふき取ってから電極パッドを貼ります。
④心電図の解析
・電極パッドを貼りつけると、「体に触れないでください」などと音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まります。この時、「みなさん離れて!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認します。
⑤電気ショック
・AEDが電気ショックを加える必要があると判断すると「ショックが必要です」などの音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まります。充電には数秒かかります。
・充電が完了したあとは音声メッセージに従い、ボタンを押し電気ショックを行います。この時も、誰も傷病者に触れていないことを確認してから電気ショックを行ってください。
⑥AEDと心肺蘇生の繰り返し
・電気ショックの後は、音声メッセージに従って胸骨圧迫を開始します。
・心肺蘇生を再開して2分ほど経ったら、再び、AEDが自動的に心電図の解析を行います。
・【心電図の解析→電気ショック→心肺蘇生の再開】の手順を、約2分間おきに繰り返します。
・救急隊に引き継ぐまで、もしくは傷病者が目を開けたり、普段通りの呼吸をし始めるまで続けます。
いかがでしたでしょうか?ここまでが救命処置の流れです。
もしあなたの大切な人が目の前で倒れたら。もしその時まわりにあなた一人しかいなかったら。
その人の命を救えるかどうかはあなた次第かもしれません。
写真と文章だけでは分かりにくいと思います。本気で救命処置について学びたい方は、消防署で行われている「普通救命講習」を受講することをお薦めします。
実際に現場で活躍している消防署員による、応急手当に関する正しい知識と技術を身につけるための講習会です。
詳しくはお近くの消防署にお問い合わせください。